作曲家を目指してる方なら当然ご存知かと思いますが、アーティストやアニメの楽曲は楽曲コンペで各制作会社や個人から集めた楽曲から選出する方式を取ることがあります。
僕も月数本はコンペ案件に参加します。事務所から発注書が届くので、それにそってデモを制作して送ります。
ちなみに、作曲時にStream DECKを使うと、とんでもなく作業が効率化できますよ。フィジコン代わりにもなります。
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作曲の生徒からよくある質問や、昔僕がよく悩んでた事としては
楽曲コンペって本当に勝てるんですか?
送ったデモってちゃんと聴いてくれてるんですか?
自信があった曲なのに、送ったデモって勝手に使われてたりしないですか?
などなどです。僕の経験談から楽曲コンペについてお話しします。
実際のコンペの勝率ってどれくらいですか?
僕の場合、正味3割….くらいじゃないですかね?(ちょっと盛ってるかも)コンペは「勝ちに行く」つもりじゃないと勝てないです。大体月に1〜2本採用が出れば良いかな、と言う感じです。
この曲、いけるだろうなぁ〜!
と思ってた曲ほど音沙汰ないし
とりあえずスケジュール間に合うし作ったれ!
くらいのお急ぎで作った曲が通ったり。。。運に左右されるところはあります。でも、「ただ出す」だけでは通りません。しっかり案件に沿った内容の曲を出すのは当然で、その上での「提案(作家自身の強みを出す)」も必要です。
コンペに勝つ方法その1:案件を選ぶ
ただがむしゃらに曲を書いて出しても通用しません。自分の得意なジャンルで勝負できるような案件に出しましょう。専門外の曲を作っても、そのジャンルに強い人に負けます。
コンペに勝つ方法その2:ペースを守る
書きすぎてもアイデアが枯渇するし、書かなさすぎても何もなりません。「月に1曲は書き下ろす」くらいから初めてみませんか。
せっかく事務所がコンペ案件を取ってきてくれてるのに…参加しなきゃ!
と思いますよね。でも「通らない曲」をいくら提出してこられてもゴミ箱にしか行きませんから。(泣)
コンペに勝つ方法その3:急がない
僕の最近の採用率は3割程度と話しましたが、お恥ずかしい話、コンペ案件に出すようになって、初採用が出るまで8年かかりました。
地獄です。「どうせ受からないんだろ…」てメンタルでも採用にならないし「絶対採用取るんだ!!」て意気込んでも息切れしちゃうので、焦らず急がず、その時の自分のベストな曲を作り続けるのが大事かもしれません。
コンペに勝つ方法その4:ちゃんとした事務所に所属する
20代前半のころ所属していた事務所は、提出した曲に特にディスカッションする事もなく、自分の曲がどうなったかもわからないまま、ただ不採用の日々が続き「一体自分の曲の何がダメなのか?」もわからず疲弊してしまい、2年くらいで実質クビになりました。(今現在その会社は廃業してるみたいです。ざまぁ)
その後所属した事務所もありましたが、それについて書く時間ももったいないくらいクソでしたね。
上記2社が共通して言っていたのは
「君がデビューするまで3年はかかるよ、コンペなんか勝てないから」
と言う謎のセリフでした。
仕事にならない勝てない仕事を散々させた上に3年間特に面倒見てくれるわけでもないのに、何いってんのこいつら?
って気持ちでした。笑
歩合制ですからねウチらw
てか1社目でも2社目でも毎年「君は3年かかる」って言われてたけど
この一生埋まらない3年って何?ww詐欺かなwww
でも事務所って学校じゃないですからね。その辺は勘違いせずに自分自身でレベルアップしていかねばなりません。
その後、今現在所属している事務所に所属オーディションでデモを送った時に
コンペって勝てますか…?
とまさにこの質問を飛ばしたんですが、
勝てると言うより勝ちに行くんですけど?
と若干イライラされながら言われたのが印象的だったんですが(笑)
その後その事務所に所属して、たった2ヶ月で採用が出ました。その曲がこちら↓
「スーパー戦隊シリーズ」の歌手でも有名な、高橋秀幸さんの「Ex-Factor」という曲で、スクウェア・エニックス×Aiming MMORPGゲーム『ゲシュタルト・オーディン』のOP主題歌にもなりました。
格好良いPVもあるのですが、2022年現在公式からは見れなくなってしまっているので、ご興味のある方はYoutubeで調べてみてください。
また、高橋さんご本人からも、自分の曲にアドバイスいただいたり、色々と相談に乗っていただいた事もあったので、個人的にも恩人だと思っております^ ^:
8年燻った僕としては大勝の瞬間だったのでとても痛快でした。
今の事務所との綿密なやり取りでの楽曲修正と営業がもたらしてくれた結果だと思っています。
「自分の曲、ちゃんと聴いてもらえてるな」と感じました。
コンペに勝つ方法その5:「先方の状況を把握する」
「良い曲」なのは前提として、そうじゃなくても通る事があります。
- 提供先に何かしらのコネがあった(出来レースw?)
- 提供先のアーティストと共作になるため、あえて完成し切っていない曲が良かった。
- たまたま使用案件(テレビなど)のサイズにピッタリハマったから、修正前提での採用
・・・など、先方がどういう状況で曲を発注・募集しているのかを把握できると「そこ」を狙った曲作りができます。
自分では取引先に連絡できないので、事務所から色々リサーチしてもらうのが良いですね。
その上で、常に「良い曲だ!」と自分で思える曲を作りつづける事は何より大事です。
良い曲….書けてます?自己満足で終わってません?
相手(クライアント)の立場になって本当に「欲しい曲」だと思える曲ですか…?
提出してるだけで満足してませんか…?(自分にも言い聞かせている)
「良い曲」についてはまた改めて記事を書きます。
2022/5/3
書きました。
どれくらいのクオリティのデモが必要ですか?
採用になった時、編曲で時間かけたくないから、何も言われないようにほぼ仕上げておこう。。。
大体これで通ってます。笑
概ね完成形で出しておく事で、クライアントの方々もイメージしやすいし、安心感にも繋がります。
現代の作曲家は、編曲や作詞も同時にできて当然です。(予算とかの都合もあるからね)
ちなみに、自分の作品ではデモ段階からほとんど形を変えていない楽曲の一例には以下の楽曲があります。作詞も僕です。
…いかがですか?
「あぁ〜こんくらいなら作れるわ。」と思いましたか?
「いや….まじかよ….このレベルのデモが必要なの?」と思いましたか?
僕は元々ギタープレイヤーなので、レコーディング機材も自宅にあるため、デモ段階から本チャンレベルでのギターとベースの録音ができます。
最近(2022年4月時点)は仮歌やコーラスも自分で録るようになりました。つまり、プレイヤーの外注なしで完パケできます。(スタジオミュージシャンを目指しているみんな、ごめんね!)
それってすごい時間の短縮になるし、他の作家さんとの差になってると自覚しています。
生ドラム録れる設備も欲しいな。。。そのうち。。。
自慢かよきんも。
僕、そんなに自分で楽器演奏できないし。
と言う方は、できるだけ心を開いて、すぐに録音対応してくれる僕みたいな友達を作ってください!是非!
ただ、作曲で最も大事なのはそんな所ではありません。メロです。
…メロです。
これについては長くなるので「良い曲」についての別の記事で書きます。
自信があった曲なのに、不採用の後送ったデモが勝手に使われてたりしないですか?
ないと思います。1人の作家から「良い曲」なんて常に生まれませんから、集める方も安全策でリスクの無いコンペにするんですよね。本当に「良い曲」って実力以外の部分から生まれる事も多いですから、書いてる本人が判断するのは難しいかもですね。
決め打ちがどれだかありがたいか痛感します。
ただ、個人で来た怪しい案件には出さないようにしています。
まとめ
僕のようにコンペでそれなりに勝てるようになった作家でも、初採用まで8年もかかりました。
でもそれまでの経験が徐々に決め打ちの仕事にも繋がっているのです。
是非、焦らず、ゆっくり確実に、トライしてください。