音楽ができるようになりたい。音楽の仕事をしたい、プロになりたい。でも楽器を始めるにもある程度練習して上手くならないといけないし。
「せや、日本語で文字は書けるから作詞家になったろ!」
という考えで作詞家を目指す方ってとても多いです。
でも
「音楽家としての作詞家になりたい」
のか
「日本語で文章を書けるから作詞家にりたい」
のとでは結果が大きく変わります。後者の場合99%が挫折、もしくは良い作品が書けません。
なぜなら、作詞は最も「音楽の事」を知っていないとだめだからです。
音楽的な詞が書けるか?
歌謡曲やJPopの歌詞は、「歌詞」であって詩やポエムではありません。
音ノリが良くて、グルーブのある韻を踏めていないといけません。
それは、日本語が読み書きできる、沢山の小説や本を読んだだけでは不可能です。
沢山音楽を聴くのは当然だし、楽器ができたり歌を歌えたり、楽譜を読めないと良い歌詞は書けません。
例えれば、日本人だからと言っていきなり舞妓さんになる事はできませんよね?でも、それっぽい格好ならお金を払えばすることができます。そんな感じです。
小節、文節を気にしているか
よくみかけるのが、小節を無視して歌詞ではなく文章を書いているパターンです。
歌詞の文脈は、基本的に小節の区切りやフレーズに沿って進んでいくべきです。
例えば文面で説明すると、以下歌詞でスペースがフレーズの区切りだとして…
私は ギタリストです こうみえて…
ま あ ま あ ウマいんですぅー!
となりますが、上手くはまっていない歌詞は以下のようになります。
私は ギタリストにな りたくてゆ
め を み て 、いるんですぅー!
「私はギタリストになりたくて夢をみているんです」
と書いたんですが、段落や区切りが不自然で見づらいですよね?文面だと気付くのですが、音になってしまうとこの違和感に気づかずに、グルーブのない曲に仕上がってしまいます。
面白いCM曲たち
テレビCMを見ていると、尺や内容の関係でかなりトリッキーなアレンジや譜割、歌詞になっている曲があります。例えば以下です。
かなりヤバいです。前衛的なジャズです。
まず2拍子とみせかけて2+2+3なのでかなり演奏が難しいです。そのため、腕の振りが、振り下げから始まっているのに、曲の終わりは振り上げで終わっています。
とはいえ音楽的にかなり不自然ですが、CMとしては何も違和感がありません。
さらに別パターン↓
歌詞の譜割りがエグいです。文面にするとこんな感じ
どーしてーかな どしてかなー
長谷工TVCM「どうしてかな(修繕)」篇より引用
うちーのマンション みちーがえーちゃ
たのはー どしてかなー
しかもメイン4小節の曲で、4小節めのドミナントでメロが終わっているため、終止間が全然ありません。
もう怖いです。作った方本当に前衛的です。
時折、歌詞において企業様の意向が強くなる時や、企画者が担当するときなど(つまり作詞担当がド素人)に、音楽的に辻褄を合わせるのに苦労する事があるのですが、そのパターンなんだろうなと思いつつ、よくぞここまでに仕上げられたなぁと感服致します。
あとこれ↓
あ〜〜〜
アリナミンナイトリカバー 新しい朝篇より引用
リナミンナ イトリカバア
は明日のためのむA-yo!!
寝てるま につか れをとってくれるか
らあさ いーかんじに なぁりまっす
メロディの譜割無視にも程があると思いますがw文面にすると全く何言ってるのかわからないですが、歌が強烈に素敵すぎてきっちりまとまってるのが素晴らしいですね。
音楽に正解はない。
音楽家よがりの考えで好き勝手述べてきましたが、何が正解かはリスナーに伝わるかどうかです。
譜割がどうのこうの屁理屈言ってても、「良い曲」にならなければ意味がありません。
以前自分の曲で、3音のメロで
いくぜ いくぜ いくぜ!
みたいな前提のメロを書いたのですが(あくまでもイメージ)
作詞家さんのかいた歌詞は
刹那 のかが やきが
3音で区切らず、「刹那の輝きが」で9音で繋いでくれました。
全く自分のアイデアになかったのですが、これが楽曲にガチハマりして、クオリティがすごく上がりました。
なので、人と協力することによって、さらにリスナーが求める楽曲に近づける事ができる事もあるので、もし楽曲制作に困った時は、迷わず誰かに助けを求めてみてください。(頼りすぎるとダメですが)