プレイヤー目線で見やすいリードシート[箱譜]楽譜の書き方

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プロミュージシャンになるには
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プロでバックバンドやジャズミュージシャン等をしている我々は、市販されているような音部がビッシリ描かれた楽譜や、何ページにも渡って音符やタブ譜が書かれたバンドスコアは使用しません。以下のような楽譜を使用します。

(念の為曲名や一部コードを隠しています。)

メロディや音符が書かれていません。これでどうやって演奏するのかをミュージシャン向けに、どういう書き方が楽器プレイヤーに好まれるのかをアレンジャーの方向けに解説します。

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forミュージシャン(楽器プレイヤー)

なぜこういう楽譜を使用するのか

まず、なぜこういうメロディの書いていない楽譜(ハコ譜)を使用するのかというと、フロントマンではない楽器メンバーは別にメロディを弾くことは無いからです。メロディは歌い手やフロントの人のものなので、我々の楽譜には必要ありません。比較的細かく書く場合はパート譜を出すこともあります。(弦楽器、管楽器別にとか)

そもそもそんなに練習する時間がない

一般的にバンドで曲を練習する時は、バンドスコアを参照したり、耳コピしたり、何度もスタジオに入って練習して曲を覚えると思いますが、日々現場が多いミュージシャンにとってはその様な時間はありません。

しっかりリハーサル期間をとって暗譜できる現場もありますが、リハーサルは1、2回でそのまま大舞台での公演、なんて事もよくあります。

見ながら弾くにはバンドスコアは向かない

バンドスコアは1曲に対して10ページくらい使ったりしますが、これは見ながら弾くことは不可能です。譜めくりもできませんし、何より自分以外のパートが書いているのは邪魔です。

一番簡略化した楽譜としてリードシートを使用する

基本的なバンド編成(Pf,Gt,Ba,Dr)だとして、リードシートとは全員が共通して見れる「概要」とか「地図」のような感覚だと思います。

それを見ながら、あとはミュージシャン自身のスキルで演奏をします。

空けてくれている方が書き込みができる

先にも載せたように、リードシートには、音符がほとんど書いていません。
メロディや歌詞を書いていると、今自分がAメロを弾いているのか、サビを弾いているのか、曲のどの場面にいるのかが判りやすいのですが、書き込みができません。
リハーサルの時は書き込みをするタイミングも一瞬だったり、演奏しながらさっとメモしたりもするので、無断な事は記載していない方が良いです。

音符の書いていない楽譜でも演奏できるスキルを身につける

ライブの際、原曲と同じ編成や環境で演奏しない事が多い(原曲音源等は、かなり多くの楽器トラックを重ねている)ため、楽譜通り弾いても再現性が低く、「ライブ」として成り立たない場合があるため、原曲の雰囲気を残したまま「ライブアレンジ」する必要があります。

その場でどういうプレイをするのがベストか、自分の耳で判断する能力が必要です。

打ち込みの曲でも、バンドVerになる時は結構アレンジって変わっているのですが、ライブ会場だとあまり気づかない人も多いです。ライブの場合は、カラオケを凌駕するほど、やっぱり生バンドの演奏の方が迫力があるからです。

プレイヤーにアレンジを一任されている

レコーディングの際もこのようなハコ譜での依頼があります。
それは、アレンジャーが内容を考えるより、依頼されたその楽器の専門プレイヤーが自由に弾く方が良い結果が得られる可能性が高いからです。

僕はギタリストなのですが、自分以外の作家さんやアレンジャーさんに依頼していただく時はほぼ100%ハコ譜で送られてきて、「ギターの内容はお任せで!」という感じが多いです。

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for アレンジャー

今度は、楽器プレイヤーに対して楽譜を書いて渡す側に気をつけて欲しいことを解説します。

上記の楽譜とは関係ありません。←

上記の楽曲と関係はありませんが、改めてこの楽曲を聴きながら楽譜の記載内容を追いかけてみてください。笑

なるべく4小節 or 偶数小節で段落を分ける

音楽は大体4小節や偶数区切りで次のセクションに行く場合がほとんどです。
そのタイミングで段落を変えることで、見失いづらい譜面になります。

偶数で段
落を変えないと、こ
んな感じで見づらい楽譜になってし
まいます。

BPMを書く

ジャズ等、演奏する時々でテンポやアレンジが変わる場合は別ですが、ある程度それが決まっている曲は、楽譜冒頭に[♩=120]などど書いておいてください。
曲頭にクリックでテンポを確認する事があるからです。書いていないと、予習の時にいちいちメトロノームで確認しないといけないので面倒です。

コードは大きめに書く

僕の楽譜はちょっとコード小さいですね。。スミマセン。
最近はiPadにpdfで入れてビュワーで見る方も多いのですが、サイズの都合上、紙より小さくなってしまいます。
紙でA4の2ページをA3の横開きで見れるものが、iPadだとA4の1ページか、横向きにするとその半分になるので、かなり小さくなってしまいます。
小さくなれば小さくなるほど、「M」なのか「m」なのかbが付いているのか付いていないのかが見づらくなってしまいます。

キメはしっかり書く

メロディは書く必要はないと言いましたが、シンコペーションや、リズムのキメなどは必ず書いてください。
くっている所がメンバー間でズレてしまうと、楽曲が崩壊します。

イントロ、アウトロメロなどは書く

今回掲載した楽譜には権利上書いていませんがw
所謂イントロの「ラララ〜ラララ〜」のメロディは絶対に書いてください。
理由はキメの項目と同じです。

時々プレイヤー側として、こういうキメメロを書いてくれていない不親切な楽譜に出くわしますが、そういうのは結局自分で耳コピする必要があり、予習に時間がかかってしまいます。
ミュージシャンの事を考えるなら書いておいてあげてください。

ソロ等はアドリブや、参考程度で大丈夫であれば空欄でもOKです。というかソロの原曲再現は大変ですw
時々、過去に自分がレコーディングした曲をライブでする際に、自分自身のソロを耳コピする事もあるのですが、レコーディングした時の記憶がなかったりするので、「自分のソロむずすぎwなんで俺、こんなソロ弾いてるねんw」となってしまった事があります。

記譜者サインは必ず書いておく

楽譜の下部に、自分の名前やサインを入れておいた方がいいです。
カバー曲などは、色々な現場で演奏する事も多いので、自分で書いた譜面が、渡したプレイヤー等にデリカシーのない人がいると、その後勝手に使用される事があるからです。
マナーとして、人が書いた楽譜を使う際は、記載者に連絡して許可をとるのが普通ですが、時にもらったものと勘違いして勝手に使ってしまう人がいます。
僕の場合、なんと勝手に使用された楽譜が周り周って自分の元に帰ってきた事があります。笑
楽譜は財産に近いものでもありますから、しっかり守らないといけません。

余談ですが…

以前、人の楽譜のサイン部分だけ修正テープで上塗りしてコピー機で楽譜をコピーしていた極悪人に出くわした事があります。悪びれた表情を一切していなかったです。笑
そういうのプレイに出ますよ。

カバー曲の際は、作曲者、元アーティストへの経緯を忘れるな

記譜者へのリスペクトはもちろんですが、カバー曲の記譜をする場合は、ちゃんと作曲者やアーティスト等の記載をするべきです。人様の曲なのに、我が物顔で演奏するのはよくないと思います。

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最後に

読む側も書く側も、要は「人に対して心地よい環境で演奏する」事を考えて制作を行えたら良いと思います。

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