先日アメリカ人の友人と話していて、日本は協調性を大事にしすぎで右にならえの教育で個性がない、アメリカは個性が喧嘩していて、まとまりがなくてしんどい。
という話をしました。僕はアメリカの教育事情は経験した事がないので知りませんが、日本で育ち日本の教育を受けてきたので、知らぬうちに「協調性」を植え付けられてきたのかもしれません。
ただ、そんな中でも高校までの授業で楽しかったと思った事はほぼ無く、好きな音楽の勉強を始めてからやっと授業や勉強が楽しいと思えて、自発的に語学なども取り組むようになりました。
現在は個人事業主として仕事をしていますから、おそらく協調性は無いものと思われます。笑
ただ、個性があるかと言われてもどうかと思います。
ミュージシャン=個性派ではない
知人や友人からは、ミュージシャンをやっているということは個性が爆発している人のように思われるし、多少は自分でも自覚がありますが、そこまで自分を個性的だと思う事はありません。
自分に対しての曲が作れない
僕は人のために楽曲を作るのはとても好きですし、収入の大半はそこから得ています。
先生や先輩から「自分のアーティスト活動のための楽曲=ギターの曲」を作った方が良いよと良くアドバイスをもらうのですが、そうなった途端筆が止まり、何もアイデアが浮かんで来なくなります。
自身のアーティスト活動で成功したことがない
僕は学生の頃はバンド活動をしたり、20代の頃はソロギタリストとしてのライブ活動もしていましたが、それで大きな収入を得ることはありませんでした。
ライブをすると50名くらいのお客様にお越しいただける事もありましたが(ジャズギタリストとしてはまぁまぁ凄い)、それを続けるのもとても大変だったし、そこまで自分自身の表現をしたいわけではなかった事に後々気づきました。(手を抜いていた訳ではありません)
つまり、ミュージシャン、アーティストはライブをしないといけない、という概念に囚われて右にならえしていました。
ライブ自体はとても大事なので必ずたくさん経験する必要はありますが、それを永久に続けないといけないとは思いません。
作ることや、人のために特化した事により収入が増えた
「昔から物を作る事」は好きでしたが、今のように作曲をしたりアーティストのサポートをするようになってから、仕事としての音楽が軌道に乗ったように思います。
僕にとって、人(アーティスト)のために弾く、曲を作る事は、安定して生産、供給できる「仕事」になりました。
自己流だけでやっていると、品質が安定しない
作曲は芸術品ですから、その時のメンタルが露骨に仕上がりにでます。
でもそんな事では仕事になりません。たとえ精神的に傷んでいても、安定した品質で楽曲を提供したり、ギターを弾けないと社会人としてはだめだと思います。
良くも悪くも「型にはまる」事で、演奏、作曲クオリティが安定する
それを人は「パクり」と乱暴に言い捨てる事もありますが、五・七・五の俳句でいえば全作品パクリになりますよね?笑
音楽の中にも「R&Bの型」「Jpopの型」「アニソンの型」はたまた「〇〇のバンドの型」というように、そのジャンルらしさが出る「型」が細かくあります。
人気のバンドにはそのバンドっぽさがありますよね。紐解いてみると、どの曲も楽曲構成やコード進行が似ていたりします。それがらしさでもあるのですが、ワンパターンと言われそれを打破するのにどのアーティストも悩みもがく訳ですよね。(それに対し、自身が作編曲をしていないアーティストはバリエーション豊かな楽曲のアルバムを作るが、統一性が無い、という別の問題にも直面します。)
我々はそういう型を研究して、取り入れながらトライ&エラー(コンペの採用&不採用)を繰り返します。
そうする事によって、自分が勝てる曲の型、自分に合っている型が解ってきます。
そして、自分のやりたい方向性や楽曲、スタイルと会う事務所やバンドに所属できるかが命運を握っているという事です。
ラーメン屋で例えると…
0からラーメン屋を始めるより、有名店で修行したり、のれん分けをしてもらい流派を継ぐ方が、理にかなった方法だと思いますし、それをパクリや甘えだなんて思わないですよね。
「○系食べに行こうや!」というのと同じように「アニソン聴こうや!」と思う人たちに供給できる環境にいた方が音楽で成功する可能性があります。
その結果、無個性につながる
バンドや所属事務所の方向性に合わせていき、結果が出るほど、自分というアーティストの作風というのは死んでいくと思った方が良いです。
結局僕は日本の教育で「協調性」を刷り込まれた人物なので、対人関係は苦手でも、制作する環境や過程は協調性があると自負しています。人がどんな曲が欲しいのかと汲み取る事ができるし、作る事ができます。
同時に、結果が出れば出るほど、「自分だけのもの」という部分が無くなっているとも思います。
ある先輩の話
とある有名楽曲を制作した先輩の話なのですが、ヒット曲の後にその人への発注が「似た曲」ばかりだったそうで、その方は精神を病んで音楽から退きました。
「自分の曲に似た曲だけ書くのでいいなんて幸せやん」
と思っていましたが、もしそれが自分を押し殺して書いた曲だったとしたら…
最初はお金を貰えて十分かもしれませんが、それ以外で自分自身にに返ってこない仕事ばかりしていると、(人に書いた曲は自分自身の金銭面以外の実績ではない)最初は良くても時期に壊れます。それは、自分じゃ無くてもできる仕事だからです。
上記は音楽家によくある話で、自分には無縁の話だとは思っていますが、病んでしまわないように適度に息抜きして、「楽しい」と思いながら音楽をするのがベストだと思います。
ぜひ音楽を楽しんでください!