現在、実機のアンプやアナログのコンパクトエフェクターを使わずに、マルチエフェクターやアンプ・エフェクトシミュレーターを使ったアンプモデリングで演奏、録音をすることは一般的です。
音も安定していますし、機材トラブルも少なく、何より運搬が楽だからです。
実機セッティングの例
コンパクトエフェクターは、1つに月1つの音色、この後ろにある巨大なアンプから出力した音を、マイクで集音&Universal Audio OXのライン2系統でPAに送ります。
シミュレーターセッティングの例
マルチエフェクター・シミュレーターのLINE6 HX Stompに、アンプのモデリングや各エフェクトが全部入っており、そのままPAに送れます。つまり、上記の実機システムの音が、この黒い小さい箱で全部再現できるんです。不思議ですよね。
先日の記事でも書きましたが↓
機材はシミュレーターを使うことでコンパクトになり便利になりましたし、
ギターの練習材料はYoutubeはじめ動画サイトで検索すれば簡単に手に入るし、有用な情報はGoogleさんで検索すればこのようなブログにヒットしてすぐに手に入れる事ができます。
そして、これに対して昭和生まれの人(俺w)は
もっと自分の足と頭と時間を使って研究しなさい
と、偉そうに言ってくるわけです。これ、ただ単に現代の情報やツールの使い方について行けずに、自分の時代の古臭いやり方を押し付けているだけですから、参考にしなくて良いんです。
とはいえ、この意見を全否定するのも、もったいないです。
僕は昭和最後の1週間に生まれたほぼ平成生まれなのでw微妙に今のテクノロジーも知っているつもりだし、昭和の古い根性論にも触れてきたつもりでいます。
そんな中で、ギターを練習したり、機材に触れる中で困った事がありました。
マルチエフェクターの中身のモデリングの元ネタを全く知らなかった。
僕が高校生の頃は、エフェクターボードの中に、アナログのコンパクトだけではなく、マルチエフェクターが入るようになったり、Podをはじめ、家庭用DTMの機材などが現れてきて便利になったものの、マルチエフェクターの中に入っているモデリングの元ネタを全く知らなかったんです。
そのため、そのモデリングの本来のやるべき使い方が全くできていませんでした。
例えば、マーシャルやJC-120はスタジオに必ずあるので知っていますが、その中でも、マーシャルにJCM800があったり、900があったり、2000があったり、、、なんてものあまり知らないので、必死にJCM2000のモデリングでクリーンを作ろうとしたりしてました。
また、Fenderのツインリバーブのモデリングで、GAINをマックスにしてメタルサウンドを作ろうとしたりしていました。汗
モデリングは「おいしいポイント」が限られている
例えば、実機のFenderのツインリバーブの場合、もしかしたら何かの奇跡が起こって、GAINをマックスにしたときに、思った以上にメタルだ!と思えるサウンドが出るかもしれません。真空管がたまたま歪んでいた、とか、ちょっとした電圧の差でいい音が出た、、とか、スピーカーが載せ替えられていた、とか。(まぁ極端な例だけど)
でも、マルチエフェクターに入っているモデリングは、ある程度ベタな使用例(fenderツインなら、ファットなクリーン)での使用を前提に音作り、モデリングをされているので、実機のように思い切ったツマミ設定をしても、良い結果になった事がほとんどありません。
なので、やっぱりある程度実機の挙動を知っている方が、モデリングを使用の際でもするべき設定が見えてくるのです。
例えば、VOXアンプの音なんて、モデリングの音だと「音、ほっそ!!!」と思って全然使ったこともなかったですが、実機をはじめて触ってからは、なるほど!となって、モデリングでも使用する用途が見えてくるようになりました。
モデリングの音は「素」ではいいが、混ざると埋もれる
僕は昔、POD Studio UX2や、Kompleteについてくる「Guitar Rig」など、安価なシミュレーターのモデリングアンプをよく使っていました。
これらの音って、本当に実機によく似た音で作られているんです。ギターの音だけ聴いていれば。
やっぱり、バンドのオケに混ざったときに、シミュレーターの音は埋もれます。
実機の音は、埋もれずに、しっかり浮き立ってきます。
なんでなんでしょうねぇ〜ww不思議です。
でも、あえて埋もれさすために、シミュレーターを使うこともありますよ。今の音楽制作では、一長一短です。
今のモデリングの音は実機を凌ぐ勢いだが、やっぱり実機を知っておいた方がいい。
僕もそうですが、学生さんなどは、ギターを始めた時からシミュレーターしか触ったことがない、という人が当たり前にいます。
最近のシミュレーターの録り音は、下手にマイク立てて実機のアンプで録るより良い結果になる事も正直あります。(以下の記事にもなんとなく書いています。)
でも、できる限りライブハウスやスタジオで実機をレンタルしてみて、その使用感を覚えた上でシミュレーターを使った方が、より早く理想の音作りができます。
結局、その経験を積むためには、自分の足と、時間と労力が必要なわけですね。ちょっとはおじさんたちの話も取り入れてみても良いかな、と思いましたか?笑
シミュレーターにしか作れない音って?
あくまでも実機>シミュレーターという構造で語ってきましたが、シミュレーターでしかできない音作り、というのもあります。
僕の例で言うと、昔使ってたPod Studio UX2というとても安価なオーディオインターフェースと、ソフトウェアのシミュレーターを組み合わせる機材があったんですが、これがもう音が細いのなんのっていう。笑
でも、ベースでよくある「DIのダイレクト音とWET音をMIX」みたいに、シミュレーターのメサブギーを使った、オケに埋もれるほっそーい歪みサウンドに(笑)、インターフェースに入ったドライ音を混ぜると、いい感じに太くなって、オケにも埋もれない音になりました。逆にこういう音って、アンプ直のサウンドでは作れないですよね!!
そして僕は、そのサウンドで某ギター雑誌のコンテストで3位になることができました。(ちなみに他の参加者は全員ケンパー、フラクタルなど超高級シミュレーターを使用していた)
でも、この方法を編み出すまでには本当に膨大な時間がかかりました。DRYとWETの割合も、かなりシビアでした。正直このときに作った音以外はPod Studio UX2は全部使い物になりません。笑
それに対して、高級シミュレーターは、ある程度どの音色にしても使えるようになっているんです。やっぱり、モノは価格相応です。
そして、それを凌ぐのが、実機です。
最後に、ちょっと話逸れるけど。
先日、友人の歌手のワンマンライブにお誘いいただいたので見に行ってきました。
バックバンドもしっかり揃えて、かなり豪華にホールでやっており、本当にすごいなと思いました。
そのギタリストの方が、なんとアンプを置かずにシミュレーターから直でPAに送って音を出していたのですが、まぁ音が細いのなんので。結構やばかったです。笑
残念ながら聴いてられなくて終演前に退席しちゃいました。多分他のお客様は気にされてないのかもですが、やっぱ有識者からすると、変な帯域が出ているのと、音の解像度が低いため音が浮き過ぎていて、他の楽器や歌の邪魔しかしていないように感じました。プレイは別に悪くなかったんですけどね。
その歌手の友人自体もギターは弾くのですが、その子のギターの方が10倍良い音していました。(アコギDI直挿し)
ここまで言っておいて何のシミュレーターを使っていたかはお聞きしていないんですが〜。
やっぱり、ライブでは実機使いましょうよ。B’zの歌みたいに「重いマーシャル運んでた腰の痛み」味わった方がいい。笑
もしくはシミュレーターでも、ちゃんとアウトボードで補強するべきだ。
て書いてて思ったけど多分、本当は自分がバックバンドに入りたかったのに、その方に嫉妬しているだけなんです。笑
恥ずかしい〜〜!!!