「好きな曲」と「良い曲」は違う

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コラム
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音楽好きな方なら「好きな曲」は必ずあると思います。
ただ、我々のような音楽や楽曲を作る人間であれば、「良い曲」である事と「好きな曲」を分ける必要があります。

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「好きな曲」の理由は「良い曲である」事では無いかもしれない

なぜその曲が好きなのですか?

例えば、僕はApinkの「No No No」という2013年の曲が好きなのですが、この曲はKpopオタクにはそれなりに認知度があり名曲と言っても過言ではないと思うのですが、正直「良い曲」かと言われたら否定しないといけないかもしれません。

特に歌詞に深い意味があるわけでもないし、サウンドも今となっては少しレトロに感じます。(当時はカッコ良かった)メロも定番で、転調もそこまで効果的ではありません。

でも、僕にとってこの楽曲は死ぬまで好きで聴き続けると思います。

好きな曲は「沢山の思い出」と共にあるから

この楽曲には(2013年)、僕にとってその当時辛かった時や楽しかった時、夢に向かって頑張っていたときにいつも聴いていた楽曲です。また、その当時Apinkのライブに行ったりイベントに参加していろんな方と交流した事も思い出すので、所謂「思い出補正」という物が大いに入っています。

この記事を書いている現在は2022年ですから、今になってこの曲を誰かに勧めたところで、その人にはこの曲を聴いたことも見たことも思い出も何も無いので、「ただ古い曲を押し付けられて鬱陶しいなぁ、、」としかなりません。

自分の好きな物が「良い物」だと思ってはいけない

つまり、自分の好きな楽曲を人に勧めるのは「自分の趣味や自分の思い出」を人に押し付けると思った方が良いです。

時々、「流行ってる音楽なんかよりこれが良いから聴け」と、古いロックスターや日本の渋い曲を無理やり勧めてきたり、マイナーな洋楽のプレイリストを送って来られた経験はありませんか?僕はあります。そして、やったこともあります。笑

これはかなり鬱陶しいです。自分の好きな物が他人も好きだとは限らないし、必ず好きになってもらえると思ってはいけません。

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じゃあ「良い曲」とは何か?

10年経っても耳にする曲

今現在売れている曲は、諸々のあれでいわゆる「ゴリ押し」というやつの場合がありますよね。10年経っても街やテレビやカラオケで歌って聴かれている曲、そんな曲が良い曲の代表です。

時に音楽家は、リスナーの事を「一般の耳」などと行って馬鹿にしますが、音楽を勉強していなくて、特に音楽が好きというわけでは無い、そんな人でも耳に残って口ずさんでしまう、そんな曲こそが名曲だと思います。

それは「良いメロ」「良い歌詞」である事が絶対です。パッと思いついたのは以下の楽曲。

楽曲自体はかなり古いので、アレンジも今聞くと古いし、中島みゆきさん自体は今は知らない人も多いと思います。

でも、この楽曲には底知れぬエナジーを感じませんか?
僕は特に中島みゆきさんのファンでもないし別に聴き込んだ事も無いのですが、この楽曲は何度聞いてもなんか心がかき回される気持ちになります。

外観だけで流行った楽曲はすぐに廃れる

かっこいい、かわいい、派手、そんな感じで流行った曲はその時だけは「良い曲」でいられますが、10年後には「ダサい」だけの曲になりますよね。

敢えて例は出しませんが。。
その時代、時代には必ず必要なものですが、楽曲を作るクリエイターであれば、10年後も聴き続けられる楽曲を作りたいですよね。

テクニックだけで作った曲は人間味がない

僕自身もそうですが、楽曲を作る際に最初からDAWでメロをシンセメロで打ち込んでしまうのは良くありません。
プログラムで「合っている音」だけ繋いでしまうと「それっぽく」はなりますが、そこに人間の心は入っていません。
できれば最初は、楽曲の骨格は鼻歌で歌ったり、楽器を合わせて作るべきです。そうする事によって「理論的には合っているけど、歌として変な音」を炙り出す事ができます。

近年はボカロ楽曲の名曲も多く、鼻からプログラミングしているような曲も多いですが、僕にはそういう歌は全部声じゃなくてシンセメロにしか聴こえません。。こういう考えをしてしまうのが頭の凝り固まったオジサン現象なのかもしれませんが、そんな曲の中にも「良い曲だな」と思うものもあるので、結果は10年後にわかるという事でしょう。

また、歌が上手いだけ、ギターがうまいだけ、楽器のテクニックが…云々も一緒で、あまり意味がありません。
演奏技術なんて3年も経てばもっと凄い人が出てきます

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好きじゃないけど「良い曲」だという事を認める

自分の好きな楽曲をいうのは、大体10代〜20代くらいにきいた楽曲になる事が多いと思います。
30代になると、どんな曲を聴いても好きになれないし(若いアーティストへの嫉妬含)聴こうとも思いません。でもそうしていると、早期に頭が凝り固まって古い音楽を押し付ける鬱陶しいおじさんになってしまいます。

でも、現在流行っている音楽やメディアで流れている曲は、一応研究して世間に受け入れられている「良い曲」である事は飲み込んで吸収するようにしています。

好きにはなれないけど「良い」という事だけは認める事で、少し気持ちは楽です。笑
結果的にそれが、自分の楽曲作りに新しい色を加えてくれる事になります。

多少は流行りも取り入れた方がいい

世に残る名曲だけを作ろうとするのも大事ですが、今この時代に生きている限り、少しは時代に波長を合わせる必要はあります。もし自分に確固たる信念があれば、多少流行り物要素が入った所で芯は揺らぎません。

クセのあるかっこいいギターを弾いていたらどんな楽曲のバックで弾いていても「この人のギターだ!」と分かる感覚に近いです。B’zの松本さんとかって、例え名前が出てなくてバックで弾いている曲でもすぐ解りますよね。

逆にいうと、それで埋もれてしまう程度ではまだまだ己の芯が足りないという事です。

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良いメロ、良い歌詞(楽曲に寄り添った歌詞)を追求しよう

見た目というのは人間も楽曲も必ず劣化していきます。
でも、メロや歌詞は、頑張れば自分が死んだ後も生き続ける事ができます。
そんな楽曲を作れるようになるためには、何が「良いメロ」で、何が「良い歌詞」なのかを知る必要があります。

それは、今の楽曲を聴くだけじゃなくて、過去に遡って心の底をくすぐられるような楽曲を探してみる事が大事です。聞き込んだりする必要はありません。

例えば、「往年の名曲」というのは、その時代時代で新しいアーティストにカバーされたりしてますよね。オリジナル曲だと思ったら実はカバーだったとか。そういうところにもヒントがあると思います。

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最後に

「好きな曲」とはごく個人のための曲、「良い曲」というのはより多くの人のための曲、という事だと思います。

我々商業作家は、この2つの違いを書き分けていく必要があります。
ただ、楽曲はあくまでも「芸術品」なので、どう頑張っても「降りて来る」瞬間を待つしか無いので、「工業製品」のように上手くはいきません。

でも、そこに近づけて安定して良い曲を供給できる作家になるためには、自分自身に「良いメロ」「良い歌詞」の基準を構築する必要があります。

それは僕も研究中でありますし、それぞれが考えを持つ必要がありますが、いくつかその考えに近い記事のリンクを貼っておきます。

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