他人の行動や仕事内容にイライラして「俺ならこうするのに」とアドバイスをしてしまう事があります。
これは言われる方にとってはあまり有り難くありません。
人それぞれだから
僕の場合プロミュージシャンを目指す人や、生徒、後輩などにアドバイスをする事がよくあります。自分が経験してきた事や、プロになるにあたって必要な事は他の誰もに必要だと思っているので、プロを目指す人が怠けた態度を見せたり、連絡が遅かったりすると「俺ならもっと効率よく動くし、連絡は1時間以内には返すけどね」
など言ってしまいます。それは正解でもあるのですが、アドバイスされる側は、言われたことを「やらないといけない事」と思ってしまうので、それが苦痛になります。
僕の場合、効率よく物事を進める事や、連絡をすぐ返す事、誰よりも仕事を優先して早く仕上げることに快感を覚えています。
でも本来、音楽という芸術は「自己満足」の世界ですから、そのペースは人それぞれです。
芸術として音楽と向き合いたい人にとって、
僕のように、数をこなして、クオリティはそこそこでも仕事を頼みやすい人、というのを目指している人とは別の人種と言ってもいいかもしれません。
そんな人に自分の考えを押し付けるのは良くないと思うので、なるべく自分を棚にあげて話す事はしないように気をつけています。
相手が何を考えているのかを「考えてあげる」事が大事
これまで教えてきた生徒で、一定数「僕(私)はプロになりたいです」と言う人がいました。
その言葉を鵜呑みにして、自分がやってきた事やプロになるために必要な事を徹底的に教えてきました。
でも、それが当人にとっては思っていたよりも過酷で、9割以上の方は挫折しました。
「僕、プロになりたいんです(好きな事を仕事にできたら楽だろうな)」
の()の部分を読み取ってあげる事が必要ということが、やっと最近解りました。
やはり、音楽というのは楽しいと思える範囲でやるのが良いです。苦しんでやるものではありませんん。その折り合いがつけられる点、妥協出来る点を一緒に探してあげて、プロになるなんてもう言うなよ。と肩を叩いてあげるのが僕たちの役目なのかもしれません。
自分たちはある種の「変人」である
我々ミュージシャンを仕事にしている人たちは、おかしいんです。
狂おしいほど音楽が好きで、その好きも通り越して痛みの感覚すらない人間です。
空気を吸うのと同レベルで音を出しています。楽しい嬉しいと感じるのももう過去です。
レストランに行ってもBGMのコード進行を片っ端からアナライズしますし、街中の音を頭の中でドレミで変換します。
みんなが好きな流行りの1発録りを謳っている動画コンテンツのピッチ修正の荒さと半分嘘ついている事にイライラします。
人と話していても「この人の声はこういう曲に合うな」とか「発声方法悪いな」とか考えています。
「なんやこのベーシストみたいな指は」「髪型ジョンレノンか」とか変な目で人の事をみます。
そんな我々にとっての「当たり前」や「常識」と言うのは、この世界(音楽業界)に居ない、もしくは目指している段階の人からしたら「変人」であり、理解不能なんだと思います。
自分がそういう人間だとわかってきたので、先にも書いた通り自分の常識を押し付けるのはヤバい事だと気づきました。
それをする事により、誰かが道を踏み外してしまっても責任を取ることはできません。
そもそも自分で気付ける人である事
仕事で音楽をしてしまう人は「僕、プロになりたいんですけど」っていう発言もしないと思います。
飯も食わず遊びにも行かず引きこもって音楽を作るかアホみたいにライブをしまくっているので、そんな無駄な事考える暇もありません。
そして、気づいた時には「勝手に仕事になっている」からです。
最後に
「自分だったらこうするのに」と自分の価値観を押し付けたくなるほど至らない人がたくさん居るからこそ、自分程度の普通なレベルでも好きな事を仕事にできていると考えて、他人のことは気にせず自分自身の鍛錬を怠らない事にしたいと思います。