僕は2022年現在、作曲家として事務所に所属し、作家活動のマネジメントをしてもらっています。
収入が低いうちは事業としてやらなかったり、個人事業主として活動したりする事が多いと思いますが、仕事の規模が大きくなってくると、色々と大人の事情も絡んできますから、事務所に所属していたほうが信頼感があります。個人の事務所を立ち上げるのも理想です。
僕は、所属事務所と作曲家として専属契約ということになっていますが、インディーズのアーティストや、ギタリストとしての仕事は、個人的な知り合いや仲間から依頼される仕事も多いので、個人として受けるケースも多いです。
(経済規模的に事務所を通す意味もない事も多いので)
そんな中で、個人で受けて大変な目に合ったことや、事務所に所属しておいてよかった。。と思った出来事も多かったので、今回まとめることにしました。
音楽活動をされている方や、これからプロの音楽家を目指す方に参考にしていただければ幸いです。
事務所に所属しててよかったと思った事
その1:営業やクライアントとのやりとりをやってくれる
僕は作曲家であり、ギタリストですから、所謂「仕事」を取ってくるための営業はとても苦手です。
苦手というか、自分自身で自分の長所を説明するのがとっても恥ずかしいです。
僕は作曲家をやっていまして、これまで数多くのアーティストに楽曲を提供してきました。ギタリストとしてもアーティストのサポートやいろんな賞を受賞して評価されています。
結構すごいんです。仕事ください。
ん〜。やっぱ自分で自分の宣伝するのって、自慢話してるみたいで嫌なんですよね。
こんな気持ちだといつまでたっても仕事なんてゲットできないですw
なので、事務所が商材である僕を売ってくれるのはとてもありがたいです。
また、自分でクライアントと直接やりとりをしてしまうと、自分のアーティストとしてのくだらない拘りを通してしまい、相手が本当に欲しいと思っている物との距離感が生まれてしまうので、制作する作品のクオリティーコントロールや、クライアントとのすり合わせを事務所側で行ってくれるのも、とてもメリットがあります。
僕自身は、本来やるべき作曲や、ギターを弾く事だけに集中できますから、苦手な部分(営業)はその道のプロに任せるべきだと考えています。
その2:ギャラの保証をしてくれる
その1にも通じますが、色々な所から仕事をいただいていると、時々怪しいクライアントがいたりします。
まぁ簡単にいうとギャラの未払いとかです。
事務所に所属していると、クライアント→事務所→作曲家・プレイヤー
と仕事の流れができるわけですから、もしクライアントから事務所にギャラの未払いがあった場合でも、事務所が保証してくれます。(そんな事態は今までなかったけどw)
また、クライアントからの支払いが滞納している時も、前倒しで支払ってくれたり、調整もしてくれるので、とても助かります。
あとは、とっても面倒な印税の計算、支払いもやってくれるので、音楽の事以外すっからかんな僕にとっては、本当に気持ちよく仕事ができています。笑
その3:ちゃんとしたミュージシャンだと思われる。
誰かとあったときに「事務所に所属しています。」といえば、ある程度「ちゃんとした人(仕事としてやっている人なんだな)」と思ってもらえるので、そういう意味で社会的存在も担保されているように思います。
ミュージシャン仲間同士で馴れ合っている時は別になんとも思わないのですが、レコード会社やクライアントの方とお会いする場合は、そういう方々は音楽は好きでも普通に「会社員」の方だったりするので、「この人音楽しか脳がないんだな〜」と恥ずかしくないようにはしておきたいものです。(名刺交換の時とか、最も感じるよね。)
マネジメント料を支払うのは当然
よく音楽の仕事の話をしているときに
ギャラの○○割も会社が持っていったんだよね〜。
えぇ〜〜〜そんなに!!?持っていきすぎだよね〜
みたいな会話を見受けますが「仕事を持ってきてもらっている」身分でそんな事言えるんですかね?
僕としては、自分で営業しても絶対取れないような仕事を取ってきてもらっている上に、社会人としての立場も担保してもらっているのに、もっとパーセンテージを持っていってもらっていいとは絶対に思いませんが(笑)、事務所との良い関係を続けていくためにも文句を言う所ではないと思っています。
個人で受けた仕事で大変だった事
冒頭でも書きましたが、元々の知り合いからの仕事等は個人で受けている場合も多いです。事務所も割と寛容なので、事務所に来た仕事でも「個人で受けていいよ」なんて言ってくれる事もあるので、結構ありがたかったりもします。笑
そんな中で、信用のある直接の知り合いから受けた仕事ならまだ良いんですが「知り合いの紹介」で受けた仕事等では、素性のわからない場合も多く、痛い目に会った事も結構ありました。その一例を紹介します。
その1:ギャラが未払い
もうこれが一番多いです。笑
あれやこれやと理由をつけて、結局払ってくれないとか。かといって法的処置を取るほどの額でもなかったりするので、もう面倒なので泣き寝入りしちゃう時もありましたね。
また「仕事としてはやりがいがある」のに、ギャラの支払いが曖昧な場合も難しいです。
僕らの「やりがい」をダシに足元を見てどんどん未払いになっていく。。なんて事もあります。
定期的にギタリストとして参加していたコンサートでは、1年くらいに渡り、結局20万円以上滞納された事もありました。何回も請求書を送り直しましたが、未払い分もあります。
あとは、「20万円払うから!上手くいけば」みたいに言っていたのに、結局3万円しか支払われなかった。
みたいに、「ギリギリ訴えられずに許してもらえそう」なやり方をするクライアントもありました。
その2:怪しい投資や宗教の勧誘
あるあるですね。
一例として、知り合いから紹介してもらった芸能事務所のアーティストに曲を書いた時の話です。
これまでタレント会社としてやっていたが、音楽も取り入れたいので、所属タレントに曲を書いて欲しいとの依頼でした。
この会社自体はおばさん社長の個人運営なので、アットホームに仲良くやっていきたいとの事で、僕も知り合いからの紹介だった分快く引き受ける事にしました。
気づけばめっちゃ時間を浪費している
「ミュージックビデオを作りたい」との事だったのですが、そもそもMVの作りかたも知らなかったみたいで、「映像を撮りながらその場で歌ってレコーディングも同時にする」と思ってたらしいです。笑
まずそこからのレクチャーも始めたのですが、この時点で「曲作り」から「曲作りからMV撮影のHow to」に増えていき、いちいち電話や現場に出向いたりで、すでに「作曲家」としての範疇を超えていました。
ギャラの話はあと回し
最初の時点で知り合いからは
そのタレント会社の人はお金あるから、ギャラは数十万はくれると思うよ。
と言われていたので、楽曲自体も弦を入れたり、生録で進めるつもりでした。
でも、話を進めてもなぜかギャラの話を逸らされると言うか、気づいたら話をすり替えられるって感じです。この感覚わかります?笑
「そんなん関係なく、大事な話はしたら良いじゃん」って思うかもですが、それがなぜかできないんです。笑
そして最終的に、
今までミュージシャンにお金を持ち出された事もあってあまり信用できないし今お金が厳しいので、あんまり支払う事ができないの。
という事で結局支払われたのは「数万円」でした。
まぁ別に良いんですが、全楽器生録前提だったので、最終的には打ち込みで簡易的に作った状態での納品になってしまったので、最初からしっかり予算は決めておきたかったです。
と言うかもしかしたら、「クオリティあげさせるだけ上げさせて、最終的に制作費を値切る」作戦だったのかもです。
ナチュラルに勧誘してくる
アットホームに仲良くやっていきたい
との事だったので、割と頻繁にこの会社(と言うか社長の家)に遊びに行かされてたのですが、僕としては早く予算と制作のスケジュールを決めたかったのに、すぐに宴会みたいになり、結局大事な所は後回し、後回しになっていきました。
そんな中、ついにこんな事を言われました。
最近ある投資を始めたんだけど、今まだやってる人が少ないから、すぐに高配当が出るの。来月には2倍、再来月には10倍になってるよ。私も1口20万で、200万投資したけど、あなたも1口どう?
はい出た〜。。。
と言うか200万も投資するお金があるなら制作費数十万出せるやろ。。と思ったんですが。。。w
こんな明らかに嘘くさいアホみたいな投資話、うけるわけありません。
でも、本人はもしかしたら本気で勧めてたのかもしれませんし、結局この社長も地主でお金は黙ってても入ってくる御身分だったので、僕らには想像もつかない感覚でお金を使われているのかもしれませんね。(結局タレントマネジメントはお遊び以下と言うこと)
言っている事がコロコロ変わる or 忘れる
- フル歌詞を仕上げたが、外国人のアーティスト本人が書くことになったため手本にするため簡単な日本語でもう1作品を書いてと言われた(ゴーストライターw)
- 仮歌等の費用が掛かる旨を伝えていて「雑費は全部払うから!」と言われていたのに、結局「そんなんの知らない」と言われ、支払われなかった(と言うか全部込みと言うことにされた)
- 書いた曲が良かったので、「もう一曲書いて!」と言われたため、新曲も書いたが「新曲はいりません」と、一方的に返却された。
などなど。
結局…
なかなか話も進まないし変な勧誘もされるしで、紹介してくれた知り合いにブチギレてしまいました。
もはやこの知り合いもグルだったんじゃないか?とまで思ってしまいます。(そもそもそんな仲が良いわけでもなかったし)
もうその時点で関係も経つつもりでしたが、結局曲自体は仕上げたいとの事で謝られてw先の通り簡易的なデモで仕上げて納品だけ済ませました。歌うご本人とも1度すら会っていません。
ただ残念な事に、、、こんな時ほど良い曲かけちゃうんですよね〜。笑
正直返して欲しいです。笑
また別の機会では…
勧誘というわけではないのですが、個人で活動していたときにこんな出来事もありました。
当時まだ上京する前で、東京に来て泊まる所もなく困っていたときに、当時お世話になっていた母親くらいの年齢のおばちゃんのプレイヤーの方の自宅に泊めてもらった時の事です。
このパワーストーン、私が作ってるの。すごい力があるのよ
との事で、そのパワーストーンの数珠をつけて仏さまの手の形をしてみて。と言われました。
すると
この数珠をしてる間は、不思議な力でその手のOの所が離れなくなるのよ。
と催眠術みたいな事を言った途端、僕の指を力いっぱい押さえつけてきました。笑
は、はい。ほ、ほんとですね、、、しゅ、、しゅごい、、
(えっ、えっ、、、不思議な力ってか力づくじゃね….えっこわwwww)
あまりの出来事にびっくりしてしまい、僕は黙りこくってしまいました。笑
しかも後日、共通の仲間がいる所でこんな事を言われてしまいました。
この子、この前私の家に泊まったのに、一切手を出してこなかったのよ。
🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮🤮
こんなんもう手も足も出ませんわ。笑
ご自身の事を「おかんみたいな存在」と言っていたのに、何を考えてらっしゃるのか。。しかも力づくの特殊能力まで見せられて、ドン引きしました。笑
まとめ
と言うわけで、事務所に所属するメリットと、個人で受ける際のダメだったエピソードを書きましたが、事務所ならどこに所属しても良い、と言うわけではありません。
今現在所属している事務所は、自分のスタンスととても合っていますが、以前に所属していた別の事務所では、騙されたり、お金を不当に搾取された経験があります。それは以下記事にも書いていますのでご参照ください。
音楽をやる上で、事務所に所属することはある一定の信用も担保できますが、どうか慎重に、本当に自分に合っているのか?判断してみてください。
また、個人で仕事をうける場合は、やはり「信用できる仲間」からにして、それ以外は「友達の紹介」だからと言って安易に受けず、しっかりと精査する事が大事だと、今回記載した一件で学びました。
この記事が、音楽業界で活動していく方のお役に立てれば幸いです。
また、色々なエピソードがありますので小出しで書いていくつもりです。お読みいただきありがとうございました。